絵合(読み)えあわせ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

絵合
えあわせ

物合(ものあわせ)の一種で、左右に分かれて持ち寄った絵を比べ、その優劣によって勝負を争う遊戯。平安朝以降、貴族社会において流行し、その一端は『源氏物語』絵合の巻や、永承(えいしょう)5年(1050)4月26日の正子内親王絵合にうかがわれる。絵の種類は古画や物語、和歌、日記、行事などに題材を求めて新たに名手に描かせた絵巻物、冊子形式のものまで多様であるが、判定の対象も、その技巧、図柄、装飾から題材の内容にまで及び、この点で歌合との関連も深い。[杉本一樹]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

え‐あわせ ヱあはせ【絵合】

[1] 〘名〙
① 中古の物合わせの一種。左右の二組に分かれて判者を定め、互いに持ち寄った絵を出し合い、その優劣を競う遊戯。絵に和歌を添えて出し「歌絵合わせ」の形をとるものが多かった。
※伊勢大輔集(11C中)「麗京殿女御のひめ宮の、おほむゑ合に、鶴」
② 江戸末期、町人の間で行なわれた遊び。題によって各自趣向を凝らした絵を画工などに書かせ、それらの作品を一巻にまとめ、評者が点をつけ、定められた日に集まって開巻し評し合う。
※楽屋図会拾遺(1802)上「当時楽屋で流行(はやる)ものは、発句、冠附、柳樽、絵合」
③ 天正カルタ四八枚を用いて勝負するカルタばくち。
浮世草子御前義経記(1700)八「片肌ぬいで四十八願の絵合(ヱアハセ)、後には三枚がるたのおせおせ」
[2] 「源氏物語」第十七帖の名。光源氏三一歳の春。源氏の養女前斎宮(のちの秋好中宮)の冷泉帝への入内と、絵合における勝利を描く。

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世界大百科事典内の絵合の言及

【物合】より

…清少納言は《枕草子》の〈うれしきもの〉の条に〈物合,なにくれといどむことに勝ちたる,いかでかはうれしからざらむ〉と記している。種類も多方面にわたり,近世まで含めると,(1)植物では,草合,根合(ショウブの根),花合(主として桜),紅梅合,瞿麦(なでしこ)合,女郎花(おみなえし)合,菊合,紅葉合,前栽(せんざい)合など,(2)動物では,鶏(とり)合,小鳥合,鶯合,鵯(ひよどり)合,鶉(うずら)合,鳩合,虫合,蜘蛛合,犬合,牛合など,(3)文学では,歌合,詩合,物語合,絵合,扇紙(扇絵)合,今様(いまよう)合,懸想文(けそうぶみ)合,連歌合,狂歌合,発句合など,(4)文具・器物では,草紙合,扇合,小筥(こばこ)合,琵琶合,貝合,石合など,(5)武技・遊芸では,小弓合,乱碁合,謎謎合,薫物(たきもの)合,名香(みようごう)合など,(6)衣類では,小袖合,手拭合など,が行われている。物合は隣接する歌合にも風流,装飾などの面で影響を与え,純粋歌合のほかに物合的要素を採り入れた歌合も多い。…

※「絵合」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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