演義体小説(読み)えんぎたいしょうせつ

改訂新版 世界大百科事典 「演義体小説」の意味・わかりやすい解説

演義体小説 (えんぎたいしょうせつ)

中国の演義小説にならって書かれた,江戸中・後期長編の歴史小説。演義小説とは,《三国志演義》のように,史実を文学的に潤色し,俗語を用いて書いた小説をいう。南宋のころ,宮廷抱えの講釈師史書を進講したのが始まりであるとされている。日本には軍談物の概念で受けいれられ,《通俗三国志》(1690)のごとき翻訳も試みられたが,本格的に読まれるようになったのは岡島冠山ら唐話学者出現以後のことで,とくに《通俗忠義水滸伝》の読解は,日本の小説界に大きな影響を与えることになった。建部綾足(たけべあやたり)の《本朝水滸伝》(1773)は,本格的な演義体小説として書かれた最初の書で,《南総里見八犬伝》に至って完成された長編伝奇の形式を日本にもたらしている。曲亭馬琴が,源為朝の活躍を描いた《椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)》の序に,史実の虚構化を中国演義小説にならっておこなったと書いているように,中国演義は,山東京伝,馬琴らの後期長編読本(よみほん)に吸収されて,その骨格を形成することになった。
読本
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