漢城府(読み)かんじょうふ

改訂新版 世界大百科事典 「漢城府」の意味・わかりやすい解説

漢城府 (かんじょうふ)

朝鮮,李朝の首都(ソウル)を管轄した官庁。正二品衙門として国王に直属した。行政範囲は城内5部と城外10里。《経国大典》(1485)では京中庶事を職掌としたが,のちに戸曹から全国の戸籍の作成事務と管理が移管され,さらに墓地に関する訴訟(山訴),殺人事件の検死乱廛(らんてん)(私商の活動)取締りなども所管事項となり,1888年からは諸外国領事との交渉も加わった。94年の甲午改革にともなう地方制度改革で23府の一つとなり,内部大臣の監督下に11郡を管轄した。日韓併合の1910年,本府に代わって京城府が設置され,京畿道知事の指揮監督をうける下級地方行政官庁となった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の漢城府の言及

【ソウル】より

…統一新羅時代に入ると,全国九州のうちの漢山州に編入されたが,景徳王代の8世紀の中ごろには,漢州に変わり,その付近を漢陽郡とした。京畿湾北部の開京(現,開城)に首都をおいた高麗時代には楊州と改められたが,その後,南京(高麗王朝の別宮がおかれた),漢陽府と変遷し,さらに李朝時代には漢城府と改称された。このとき首都として大きく発展したが,その名残りを故宮や城門にとどめている。…

※「漢城府」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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