瀬戸島村(読み)せとじまむら

日本歴史地名大系 「瀬戸島村」の解説

瀬戸島村
せとじまむら

[現在地名]音戸町音戸おんど

倉橋くらはし島の北部東半を占め、北の音戸ノ瀬戸を隔てて警固屋けごや(現呉市)と向い合う。西隣の渡子島とのこじま村に比べ、海岸線は変化に富み、深い入江の奥に集落が営まれている。南は倉橋島村(現倉橋町)に接する。

古く波多見はたみ島、または波多見浦と称し、安摩あま庄に属していた。仁治三年(一二四二)三月一二日付の安芸国安摩荘内衣田島荘官百姓等解(巻子本厳島文書)によると、当時の波多見浦惣公文として中原有通の名が知られる。応永三四年(一四二七)までに波多見島は竹原小早川氏の所領となっていて(同年一一月一〇日付「小早川弘景自筆譲状」小早川家文書)、永享四年(一四三二)以前一時陽因なる者が知行していたが、再び小早川氏の手に戻った(同年一二月一五日付「陽因去文写」同文書)。その後野間氏との間で波多見島をめぐって紛争が生じ、瀬戸城(跡地不明)で合戦に及んだが、大内氏の仲介で、おそらく小早川・野間両氏に中分され(年欠六月一〇日付「大内義興書状写」、年欠一一月二七日付「相良正任岡部武景連署奉書写」同文書)、弘治元年(一五五五)野間氏滅亡後は小早川氏の領有するところとなったと思われる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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