日本大百科全書(ニッポニカ) 「火打石銃」の意味・わかりやすい解説
火打石銃
ひうちいしじゅう
flintlock gun
燧石(すいせき)銃ともいう。鉱石と鋼との衝撃で発する火花によって点火する銃。ばねによって回転する鋼製歯車に黄鉄鉱を当てて生ずる火花を利用したホイールロック(15世紀末)、火打石を鋼製の火蓋(ひぶた)に打ち付けて火花を発生させて点火する、フリントロック、スナップハンス、ミュケレット式などがあり、これらのなかでも機構が簡単なフリントロック式がもっとも一般的で、17世紀初期から19世紀までヨーロッパで広く使用された。つねに火種を持ち歩く火縄銃より大きな進歩であった。日本では軍事使用の目的がなかったこと、良質の火打石が産出されなかったこと、火縄銃に比べ命中精度が劣ることなどから採用が遅れ、本格的に輸入されるようになったのは外国船の来航が頻繁になった1832年(天保3)以後である。
[小橋良夫]