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…なお,江戸時代では,俳諧の語をとくに狭義に用いて,連歌形式の俳諧作品(連句)を指していうことが多い。
[史的変遷]
発生期の連歌は,のちの俳諧之連歌と質的にそれほど変わりはなかったが,上層貴族文化人たちによって,和歌的情趣を好み本意本情を重んじる有心連歌としてしだいに洗練されてしまったので,やがて有心連歌と無心連歌(俳諧之連歌)は袂を分かつようになり,それがまた連歌から俳諧之連歌が独立していく機縁となった。1499年(明応8)には現存最古の俳諧之連歌集《竹馬狂吟集》が編まれ,室町時代末期には山崎宗鑑の《誹諧連歌》(犬筑波集)や荒木田守武の《誹諧之連歌独吟千句》(守武千句)なども成立,それによって連歌にいきいきとした解放感と明るく健康な諧謔精神が回復され,やがてその魅力により,俳諧之連歌は連歌界の主導権を奪ってしまうのである。…
…13世紀に至り,50句,100句等の長いまとまりで詠むことが多くなり,やがて百韻の形式が基本になる。その動向の中心となったのは後鳥羽院とその周辺にいた藤原定家・同家隆らの歌人であり,連歌は和歌に付随したものとして詠まれるのが当時の一般的なあり方であったこと,さらに和歌的情趣による,いわゆる〈有心(うしん)連歌〉を詠む有心衆(柿本衆)と,滑稽諧謔を中心とする,いわゆる〈無心(むしん)連歌〉を詠む無心衆(栗本衆)との両派に分かれて競作するような場合もあったことが注意される。このころから,複数の作者による共同制作が定式化し,詠作上の種々の約束事が集積され,連歌の座の運営を円滑にする努力がなされるようになり,連歌式目(式目)の発生がうながされた。…
※「無心連歌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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