改訂新版 世界大百科事典 「無段変速装置」の意味・わかりやすい解説
無段変速装置 (むだんへんそくそうち)
infinitely variable speed drive
変速装置において,原動機側の入力軸回転速度をNi,従動機側の出力軸回転速度をNoとしたとき,比No/Niを速度比というが,この速度比をある一定の範囲内の任意の値に設定できるような変速装置を無段変速装置という。機械式,流体式および電気式に大別できるが,狭い意味では機械式のものだけを無段変速装置と呼ぶこともある。機械式無段変速装置は動力伝達の機構から次の三つに大別することができる。
(1)摩擦車式 摩擦伝動による方式で,原動機側の入力摩擦車と従動機側の出力摩擦車との接点の位置を変化させることにより,両方の摩擦車の速度比を連続的に変化させるもの。
(2)ベルト式 VベルトとVみぞベルト車を用いる方式で,ベルト車のみぞの隙間の大きさを連続的に調節することによって,みぞの隙間の大きさに応じてベルトのかかる位置が変化し速度比が連続的に変わる。
(3)チェーン式 ベルトをチェーンに替えたもので,みぞ付きプーリーのV形みぞの隙間の大きさを連続的に調節してチェーンのかかる位置を変化させて無段変速を行う。
なお,流体式と電気式については〈変速装置〉の項目を参照されたい。
執筆者:北郷 薫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報