煩悩即菩提(読み)ボンノウソクボダイ

デジタル大辞泉 「煩悩即菩提」の意味・読み・例文・類語

煩悩ぼんのうそく菩提ぼだい

仏語煩悩にとらわれている姿も、その本体は真実不変の真如しんにょすなわち菩提(悟り)であって、煩悩と菩提は別のものではないということ。

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精選版 日本国語大辞典 「煩悩即菩提」の意味・読み・例文・類語

ぼんのう【煩悩】 即(そく)菩提(ぼだい)

  1. 仏語。煩悩はそのまま悟りの縁であること。煩悩の本体は真実真如にほかならないから、煩悩と菩提とは別のものではなく、一体であるということ。煩悩菩提。
    1. [初出の実例]「生死即涅槃。煩悩即菩提」(出典:往生要集(984‐985)大文四)
    2. [その他の文献]〔法華玄義‐九・上〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「煩悩即菩提」の意味・わかりやすい解説

煩悩即菩提
ぼんのうそくぼだい

仏教用語。生死即涅槃とともに大乗仏教の真髄を表わす言葉。悟りを妨げる心作用である煩悩菩提すなわち悟りと相即不二 (そうそくふに) であるという意。煩悩の本体は真実の真如であるから,煩悩を離れて菩提もないことをいう。

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世界大百科事典(旧版)内の煩悩即菩提の言及

【煩悩】より

…このようにして煩悩を滅尽し欲望を断ち切って,正覚を開いた聖者が阿羅漢(あらかん)(羅漢)というもので,再び輪廻(りんね)の苦に陥らないけれども,これを小乗の覚とするのが大乗仏教である。大乗では煩悩即菩提といい,煩悩に苦しんでいる現実の中に,生きた菩提があるというので,悪人正機(あくにんしようき)という主張も出てくる。煩悩深重(じんじゆう)の悪人ほど阿弥陀如来の救済に真っ先にあずかれるという,常識と矛盾したような教理は,煩悩即菩提と同じ大乗仏教の論理から出たものである。…

※「煩悩即菩提」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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