熱貫流(読み)ねつかんりゅう

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

熱貫流
ねつかんりゅう
heat transmission

固体壁を挟んだ両側に接する流体温度に差があるとき、高温流体から低温流体へ熱が流れる現象をいう。その過程は、まず熱は高温流体からこれに接する壁表面に伝わり、この表面から壁体を通って低温流体に接するもう一方の表面に達し、この表面から低温流体に伝えられる。このように流体と壁面間および壁体内の伝熱過程をそれぞれ熱伝達、熱伝導という。したがって熱貫流は、高温側および低温側壁表面での熱伝達、壁体内の熱伝導の三過程を含んでいる。
 壁体内の温度および熱流が定常状態の場合、壁体の単位面積、単位時間当りについて、伝達熱量は流体と壁面間の温度差に比例し、その比例定数を熱伝達率といい、伝導熱量は壁体の両表面温度勾配(こうばい)に比例し、その比例定数を熱伝導率といい、貫流熱量は両流体間の温度差に比例し、その比例定数を熱貫流率または熱通過率という。熱伝導率は壁体周囲の流体の影響は受けないが、熱伝達率は流体の伝導、対流、および壁面とそれを取り囲む他の壁面間の放射による総合的な伝熱速度を示し、通常、風速が大きいほど熱伝達率は大きい。したがって、熱貫流率も風速が大きいほど大きい。単位厚さ当りの熱伝導率を熱コンダクタンスthermal conductanceという。熱伝達率、熱コンダクタンス、熱貫流率のそれぞれの逆数を、熱伝達抵抗、熱伝導抵抗、熱貫流抵抗という。一般に多層壁体の熱貫流抵抗は、壁体両側の流体の熱伝達抵抗および壁体各層の熱伝導抵抗との総和によって求められる。[水畑雅行]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の熱貫流の言及

【伝熱】より


[沸騰と凝縮による伝熱]
 伝熱の機構は基本的には以上のように大別されるが,実際に発生する伝熱現象においてはこれらが同時に起こっている場合が少なくない。例えば,固体壁をはさんで両側の流体の間で伝熱が行われる場合を熱貫流というが,これは熱伝達と熱伝導(固体壁内)とが複合したものである。さらに燃焼のような化学反応や異種物質の拡散を伴うこともある。…

※「熱貫流」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

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