父パードレ・パドローネ(読み)ちちぱーどれぱどろーね(その他表記)Padre Padrone

日本大百科全書(ニッポニカ) 「父パードレ・パドローネ」の意味・わかりやすい解説

父パードレ・パドローネ
ちちぱーどれぱどろーね
Padre Padrone

1977年製作のイタリア映画。パオロとビットリオタビアーニ兄弟が監督した代表作で、カンヌ国際映画祭グランプリに輝いた。原作はビアレッジョ賞を獲得した、言語学者ガヴィーノ・レッダGavino Ledda(1938― )の自伝的小説。サルディーニャ僻村(へきそん)の小学校に通うガヴィーノ(ファブリツィオ・フォルテFabrizio Forte)は、羊飼いの父親(オメロ・アントヌッティOmero Antonutti、1935― )によって教室から連れ出され、岩山の番小屋での一人暮らしを命じられる。文盲のまま徴兵されたガヴィーノ(サヴェリオ・マルコーネSaverio Marcone、1948― )は、軍隊で高校卒業資格をとり、やがて方言の研究者として生きることを決意する。親から子へと伝えられる職能の伝授と近代的な学校教育が対比されながら、時としてポリフォニック(多声的)な語りへと逸脱することで、リアリズムを超えた詩情高みへと達することに成功した。イタリア国営放送(RAI)がテレビ用映画として製作したものだが、劇場でも一般公開された。

[西村安弘]

『ガヴィーノ・レッダ著、竹山博英訳『父 パードレ・パドローネ――ある羊飼いの教育』(1995・朝日選書)』

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