ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タビアーニ兄弟」の意味・わかりやすい解説
タビアーニ兄弟
タビアーニきょうだい
fratelli Taviani
(弟) パオロ Paolo 1931.11.8. ピサ近郊サンミニアート~
イタリアの映画監督。兄弟で一つの作品を監督する。ともにピサ大学を卒業,ロベルト・ロッセリーニ監督のネオレアリズモ映画『戦火のかなた』(1946)に触発され,バレンティノ・オルシニとともに映画制作を学ぶ。3人はドキュメンタリーを数本手がけたのち,殺害された労働組合の指導者を描いた共同監督作『火刑台の男』Un uomo da bruciare(1962)で長編デビュー。この作品で駆使したカメラを長回しするトラッキング・ショット(→移動撮影)が,のちの作品を特徴づけることになった。オルシニと離れたのち,兄弟だけで『危険分子たち』I sovversivi(1967)を初監督。1977年,『父 パードレ・パドローネ』Padre Padroneがカンヌ国際映画祭のパルムドールを獲得するなど成功を収める。その後は『サン・ロレンツォの夜』La notte di San Lorenzo(1982),『カオス・シチリア物語』Kaos(1984),『太陽は夜も輝く』Il sole anche di notte(1990),『塀の中のジュリアス・シーザー』Cesare deve morire(2012。ベルリン国際映画祭金熊賞),『レインボウ』Una questione privata(2017)など,社会的関心事にドキュメンタリー効果を組み合わせたリアリズムの手法に,モダニストならではの詩的感覚や視覚・聴覚効果を添える優れた作品を発表した。(→イタリア映画)
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