日本大百科全書(ニッポニカ) 「特異銀河」の意味・わかりやすい解説
特異銀河
とくいぎんが
peculiar galaxies
形態が特異な銀河と、中心核が激しく活動していて特異な輝線スペクトルを示す、いわゆる活動銀河とに大別される。前者の例としては、中央部に幅広い暗黒星雲が横たわっているプロレート型の楕円(だえん)銀河、楕円銀河でその外側に同心円状のかすかなシェル構造をもっているシェル状銀河、指輪のように中心部に穴があいて周辺部だけが光っているリング銀河、レンズ状銀河の円盤部に直交してもう一つの円盤状リングが回転しているポーラー・リング銀河などがある。特異な形態の原因として、かつては銀河中心核の大爆発が考えられていたが、最近、複数の銀河どうしの衝突による重力相互作用説が有力である。事実、特異銀河は互いに接し合うほど異常に接近しあっている銀河に多くみいだされている。
後者の例としては、高度に電離したガス雲が秒速1万5000キロメートルにも達する速さで中心核内を運動しているセイファート銀河や、中心核域で星が異常に活発に形成されているスター・バースト銀河などがある。スター・バースト銀河がセイファート銀河へ進化するとの説もあるが、両者の関係はよくわかっていない。銀河どうしの衝突が、これら中心核の活動の引き金になっている可能性が指摘されている。
[若松謙一]