犠牲説(読み)ぎせいせつ(その他表記)sacrifice theory

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「犠牲説」の意味・わかりやすい解説

犠牲説
ぎせいせつ
sacrifice theory

19世紀中頃に J.S.ミルによって最初に主張された租税理論。ミルは国家から受ける便益の対価として租税を考える利益説に反対し,応益課税は貧しい人々に対する逆進税を支持する結果をもたらすと考え,万人は法のもとに平等に扱われるべきで,「課税における平等とは犠牲の均等を意味する」と主張した。 1870年代以降の限界効用理論の発展につれて,「犠牲」は個人の所得に関する限界効用逓減の法則と関連づけることによって,個人が所得1単位の効用を課税に伴って手放す苦痛と考えられるようになり,各個人の所得に関する限界効用曲線はほぼ同一とみなしてさしつかえないという仮定に基づいて,犠牲を平等にするということが納税者の均等犠牲 (ミル) を意味するのか,比例犠牲を意味するのか,あるいは均等限界犠牲ないしは極小犠牲 (F.エッジワース,A.ピグー) を意味するのか,さらに関連してこの「犠牲を平等にする」ために必要とされる税率構成が比例税,逆進税,累進税であるかが論議の対象とされた。

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