猪名部百世(読み)いなべの ももよ

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「猪名部百世」の解説

猪名部百世 いなべの-ももよ

?-? 奈良時代の工人
造東大寺司で大仏造立(752年開眼(かいげん))に従事木工(もく)寮の長上工(ちょうじょうこう)(常勤の技術監督官)となり,天平宝字(てんぴょうほうじ)2年「大般若経(だいはんにゃきょう)」の写経にもかかわる。神護景雲(じんごけいうん)元年(767)称徳天皇の東大寺行幸のとき功労者として外従五位下をさずけられた。「東大寺要録」には,大工(だいこう)・従五(四)位下で,伊勢守(いせのかみ)兼東大寺領掌使とある。伊賀(いが)(三重県)出身。氏は猪(為)奈部ともかく。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

朝日日本歴史人物事典 「猪名部百世」の解説

猪名部百世

生年生没年不詳
8世紀中ごろの造東大寺司の官僚伊賀国(三重県)の人。天平宝字2(758)年8月の「造東大寺司解」に木工寮長上正六位上とあり,翌月の「造大殿所解」に写経料の銭250文,紙20張を納めており,大般若経の書写に関わっている。神護景雲1(767)年2月称徳天皇の東大寺行幸に際して同寺造営の功労者に授位があり,造寺工の百世は正六位上から外従五位下となった。『東大寺要録』に引用される「大仏殿碑文」には伊賀国人大工従五位下と記され,また従四位下で伊勢守兼東大寺領掌使に任じられたともされる。

(岩本次郎)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

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