猫騒動物(読み)ねこそうどうもの

改訂新版 世界大百科事典 「猫騒動物」の意味・わかりやすい解説

猫騒動物 (ねこそうどうもの)

人形浄瑠璃歌舞伎狂言の一系統。お家騒動にからめて怪猫のたたりを描くものが多い。古くは1740年(元文5)4月大坂竹本座初演,文耕堂,千前軒,三好松洛ら合作の人形浄瑠璃《今川本領猫魔館(いまがわほんりようねこまたやかた)》があり,今川家のお家騒動に怪猫を配している。歌舞伎では1827年(文政10)6月江戸河原崎座,4世鶴屋南北作《独道中五十三駅(ひとりたびごじゆうさんつぎ)》が有名。十二単衣を着た怪猫が,行灯の油をなめる。通称《岡崎の猫》。のち河竹黙阿弥が改作上演し,近年3世市川猿之助も大幅に改作して復活した。また佐賀鍋島騒動に取材した《鍋島の猫》の最初の作は1853年(嘉永6)の3世瀬川如皐作《花埜嵯峨猫稿(はなのさがねこまたぞうし)》であるが,佐賀藩の抗議にあい上演されなかった。別に1880年5月東京猿若座の河竹黙阿弥作《有松染相撲浴衣(ありまつぞめすもうのゆかた)》は有馬騒動に取材したもので,通称《有馬の猫》。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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