国指定史跡ガイド 「猿投山古窯跡群」の解説
さなげやまこようせきぐん【猿投山古窯跡群】
愛知県名古屋市千種区東山、豊田市猿投町、瀬戸市幡山町、刈谷市井ヶ谷町ほかに分布する窯跡群。豊田市と瀬戸市にまたがる標高629mの猿投山の西南に広がる尾張丘陵の、約20km四方に1000基以上が集中している古窯跡。1957年(昭和32)、木曽川から水を引き、尾張の丘陵地を貫いて知多半島にいたる愛知用水の工事が始まり、窯跡が破壊されていくのを見かねた研究者の働きかけで発掘調査が行われた。地元の原料を轆轤(ろくろ)を用いて成形し、窯で焼いた古墳時代の副葬品としての須恵器(すえき)に始まり、日用容器としての須恵器を経て、植物の灰を釉薬に使った灰釉(かいゆう)陶器を出現させ、山茶碗と呼ばれる無釉の雑器などを焼いた、13世紀にいたるまでの窯の活動が明らかになった。猿投山古窯の技術は瀬戸・美濃や知多半島にも伝えられた。古窯群の一つ、東山古窯跡へは、名古屋市営地下鉄東山線東山公園駅から徒歩約15分。