日本大百科全書(ニッポニカ) 「玉之浦湾」の意味・わかりやすい解説
玉之浦湾
たまのうらわん
長崎県五島(ごとう)列島福江島(ふくえじま)の南西部にある湾。溺(おぼ)れ谷で古くから玉之浦七浦とよばれ、沿岸80キロメートルに及ぶリアス海岸で、その景観は西海国立公園(さいかいこくりつこうえん)中の一偉観を展開している。湾の西側には架橋された島山島(しまやまじま)が横たわり、湾内は波静かで、明治期には延縄(はえなわ)漁業、大正・昭和期には以西底引網漁業の基地として利用されたが、現在では真珠やエビ、タイ、ハマチなどの養殖漁場としての利用がある。湾の北部には荒川温泉を伴う荒川港があり、南東部に中須(なかす)、西岸に玉之浦の主邑(しゅゆう)があり、南岸には国道384号が通じている。南岸の御岳(みたけ)には白鳥神社があり、この湾を望む展望台がある。沿岸には江戸時代からのキリシタン集落があり、井持浦教会(いもちうらきょうかい)には、フランスの聖地ルルドを模した霊泉ルルドの洞窟(どうくつ)がある。
[石井泰義]