福江島(読み)フクエジマ

デジタル大辞泉 「福江島」の意味・読み・例文・類語

ふくえ‐じま【福江島】

長崎県西部、五島列島南端にある島。同列島の主島で、五島市に属する。面積328平方キロメートル、海岸線の長さ322キロメートル。最高点は島西部のちちヶ岳(標高461メートル)。楯状火山臼状火山など火山地形が随所に見られる。深い入り江は遣唐使の停泊地として利用された。現在は、ハマチ・タイ・真珠の養殖が盛ん。北部と南西部の海岸はリアス式海岸が発達し、西海さいかい国立公園の一中心地となっている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「福江島」の意味・わかりやすい解説

福江島
ふくえじま

長崎県五島列島(ごとうれっとう)南端の島。面積326.34平方キロメートル。行政的には五島市に属する。島の南東部には鬼岳(おんだけ)、火岳(ひのだけ)、箕岳(みだけ)などの臼状(きゅうじょう)火山(ホマーテ)群や、富江(とみえ)の只狩山(ただかりやま)を噴出点とする低平な台状火山が噴出して、それぞれ半島部を形成し、北西部には京(きょう)ノ岳(たけ)の楯状(たてじょう)火山(アスピーテ)が噴出して三井楽(みいらく)の半島部を形成している。島の中央部は花崗(かこう)岩地帯で山内(やまのうち)の侵食盆地があり、ここを貫流する鰐川(わんごう)は長崎県屈指の長流で、下流部は岐宿(きしく)溶岩台地を刻んで峡谷状をなしている。島の北部はリアス海岸で、奥浦(おくのうら)湾、唐船(とうせん)ノ浦(うら)、白石浦(しろいしうら)などの湾入があり、島の西南部でも著しい溺(おぼ)れ谷の地形が示され、玉之浦(たまのうら)の湾入がある。湾の西側に架橋された島山島(しまやましま)があり、湾内には七浦の入り江がある。東シナ海に面する大瀬崎(おおせざき)では、高さ50~100メートルの海食崖(がい)が延々20キロメートルも続いて雄大な景観を展開している。遣唐使の寄港地であったため、関係史跡が多い。また、キリシタン信仰の地であり、各地に天主堂が建てられた。現在も集落の信仰拠点として生きており、国や県の文化財に指定される教会も多い。ヘゴ自生北限地帯として国の天然記念物に指定される地域がある。国道384号が島内を巡り、福江港からは長崎港および五島各地への定期船が就航する。福江空港からは長崎空港、福岡空港への便がある。人口3万9096(2009)。

[石井泰義]

『『五島列島―九十九島―平戸島学術調査書』(1952・長崎県)』


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改訂新版 世界大百科事典 「福江島」の意味・わかりやすい解説

福江島 (ふくえじま)

長崎県五島列島南端の島。面積327km2で,列島中最大である。行政的には福江市のほか,南松浦郡の富江,玉之浦,三井楽(みいらく),岐宿(きしゆく)の4町からなっていたが,2004年合併により全島が五島市となった。南東部には鬼岳(おんだけ)火山群があり,鬼岳(315m)には直径約200m,深さ70mの火口があり,なだらかな草原となっていて,頂上からの展望はすばらしい。また箕(み)岳(144m)の火口底は中学校の運動場に利用されている。南部の富江半島は標高平均20mの玄武岩の溶岩台地で,ところどころに井坑(いあな)と称する溶岩トンネルがみられる。南西部の玉之浦湾は典型的な沈水海岸で,良港が多く,玉之浦港は底引網漁船の基地として栄えたが,今はそのおもかげはない。湾口近くの荒川には食塩泉の温泉が湧出し,海岸にはハマジンチョウが生育する。南西端の大瀬崎には白亜の灯台があり,ここを中心に大宝崎から鯛ノ鼻に至る高さ100m以上の海食崖は西海国立公園の一中心である。島の北西部の三井楽町には京ノ岳(183m)を中心として,緩傾斜の楯状火山が広がる。浜ノ畔(はまのくり)の白良ヶ浜(しららがはま)は雲母や砂鉄を含まない砂からなるため,その白さはまばゆいほどで,近くには漣痕化石がみられる。北部の岐宿町には玄武岩の溶岩台地が分布する。島の中央部の山内(やまのうち)盆地は花コウ岩地帯を貫流する鰐(わに)川による浸食盆地であり,五島列島随一の穀倉地帯となっている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「福江島」の意味・わかりやすい解説

福江島
ふくえじま

長崎県五島列島南端の主島。1市4町からなり,福江市が中心であったが,2004年8月奈留島も含め1市5町が合併し五島市となった。島の中部を流れる鰐川の流域は山内盆地と呼ばれ水田地帯。その周囲は古第三紀 (おもに砂岩) の山地で,その外側に鬼岳 (317m) ,京ノ岳 (183m) ,および富江台地などがある。農主漁従の島で,五島牛の飼育で知られ,ミカン,葉タバコの栽培も行なわれる。漁業は沿岸の一本釣りと定置網漁が中心。玉之浦と岐宿 (きしく) 海岸はリアス海岸の景勝地で,玉之浦湾には荒川温泉がある。玉之浦湾は大正から昭和初期に漁船の前進基地として栄えた。火山岩の地域とリアス海岸地域の多くは西海国立公園に属する。遣唐使倭寇の遺跡が多く,江戸時代に移住した隠れキリシタンの集落もある。面積 320.82km2。人口4万 3321 (2000) 。

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百科事典マイペディア 「福江島」の意味・わかりやすい解説

福江島【ふくえじま】

長崎県五島列島南西端の島。列島中最大で,面積326.31km2。楯(たて)状火山の京ノ岳,臼状火山の鬼(おん)岳,溶岩台地の富江台地など各種の珍しい火山地形がみられ,海岸は屈曲に富み,西海国立公園の一中心。島全体が五島市の一部。
→関連項目岐宿[町]西海国立公園玉之浦[町]富江[町]三井楽[町]

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事典 日本の地域遺産 「福江島」の解説

福江島

(長崎県五島市)
美しき日本―いちどは訪れたい日本の観光遺産」指定の地域遺産。

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世界大百科事典(旧版)内の福江島の言及

【五島列島】より

…列島の胴体部は地塁山地で,その後の沈水により多くの瀬戸や湾入を生じ,美しいリアス海岸をみせる。地塁山地の東側には福江島の鬼岳(おんだけ)火山(315m)や富江溶岩台地が,西側には宇久島小値賀島などの火山島や,京ノ岳火山(福江島北西端,183m)が形成されている。列島は日本の西端にあり,中国大陸に近く,かつて遣唐使の寄港地や倭寇(わこう)の根拠地となり,その遺跡は多い。…

※「福江島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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