日本大百科全書(ニッポニカ) 「王汶石」の意味・わかりやすい解説
王汶石
おうぶんせき / ワンウェンシー
(1921―1999)
中国の作家。本名王礼曽、ほかに王仲斌(ちゅうひん)、王蘊石(うんせき)の名も用いた。山西(さんせい/シャンシー)省栄河県(現・万栄県)の小地主で祖父、父ともに教師だった。10代なかばで抗日運動に参加、1938年共産党に入党、42年に延安(えんあん/イエンアン)西北文芸工作団に加わって、文化、芸術活動に参加、49年からは『群衆文芸』『西北文芸』の主編・副主編を務めた。最初の作品は50年に『西北文芸』に発表した短編だが、58年刊の短編集『風雪の夜』が高い評価を受けた。脇役(わきやく)が生き生きと描かれ、ユーモアをたたえた作風が特徴。ほかに長編『黒鳳(ヘイフォン)』(1963)などがある。60年に作家協会理事になるが、文化大革命では攻撃の対象になり、執筆不能の状況に置かれた。文革終了後に復活して中国文連委員・作家協会理事を務め、旧作も復刊されたほか、小説『真赤な石炭』をはじめ、詩・評論・散文等にわたって衰えぬ筆力を示した。
[丸山 昇]
『丸山昇ほか訳『中国現代文学選集 長編小説』(1963・平凡社)』