最新 地学事典 「理論形態学」の解説
りろんけいたいがく
理論形態学
theoretical morphology
進化過程で実在しないが,潜在的には出現可能な形態変異を表現する数学モデルあるいはアルゴリズムをつくること,あるいはそれに基づいた形態に関する解析。D.M.Raup et al.(1965)提唱。彼らは,軟体動物・腕足類の殻成長を表現するために,対数らせんを念頭に置いた簡単な数理モデルを考え,コンピューターを用いて,腹足類・アンモナイト類などの殻の巻き方の特徴を解析。その結果,対数らせんとはいっても実際にこれらの生物で採用されているらせん型はかなり限定されていること,各分類群に採用されている巻き方に違いがあることを明らかにした。その後,1980年代に入り岡本隆・Ackerlyらによって,より実際の殻形成過程に近いモデルが提出され,異常巻きアンモナイトなど,より複雑な形態にも適用されるようになった。そのほか,ウニ・有孔虫・筆石などについての研究がある。形態進化の多様性がどのように制限されているのかを視覚化するという点で非常に有効な方法であるが,なぜ制限されているのかという問題に答えるには,発生的制約や機能的制約などについて別に検討する必要があり,その点で構成形態学(constructional morphology)・機能形態学の一部とみなすこともできる。
執筆者:森田 利仁
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

