琉訳聖書(読み)りゅうやくせいしょ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「琉訳聖書」の意味・わかりやすい解説

琉訳聖書
りゅうやくせいしょ

ベッテルハイムによる聖書の琉球語訳本の総称。ベッテルハイムは、ハンガリー生まれのユダヤ人で、イギリスの宣教師、医者。1846年から54年までの8年間琉球に滞在して布教に従事したベッテルハイムは、47年ころから聖書の琉球語への翻訳を始め、55年に香港(ホンコン)で片仮名書きによる『路加(ルカ)伝福音書(ふくいんしょ)』『約翰(ヨハネ)伝福音書』『聖差(せいさ)言行録(使徒行伝)』『保羅寄羅馬人書(パウロがローマじんによせるしょ)(ロマ書)』を出版した。その後アメリカで完訳作業を行い、漢字交じり片仮名書きの『約翰伝福音書』(1873)、『聖差言行伝(使徒行伝)』(1874。このとき「言行録」が「言行伝」に変更)の二冊がウィーンで刊行された。『馬太(マタイ)伝福音書』『馬可(マルコ)伝福音書』は刊行されず稿本のままイギリスに残っている。ベッテルハイムは語学的才能に恵まれ、彼の琉球語研究はかなり高いレベルのものと評価されている。伝道史のうえだけでなく琉球語研究にとっても貴重な業績である。なお、聖書の琉球語訳としては、ベッテルハイムのほかに、沖縄出身の伊波普猷(いはふゆう)、新垣信一(あらかきしんいち)らのものがある。

[高良倉吉]

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