…この映画が,当時〈危険思想〉といわれた社会主義的イデオロギーにつらぬかれているということから,初めて〈イデオロギー映画〉あるいは〈傾向映画〉と呼ばれた。しかし,〈傾向映画〉ということばが真にジャーナリズムに乗るのは,プロレタリア作家,片岡鉄兵(1894‐1944)の新聞連載小説を映画化した内田吐夢監督の《生ける人形》(1929)がヒットしてからである。左翼思想といっても時流に乗った形式的なものであったと内田吐夢はのちに回顧しているが,地方から東京へ出てきて打算的な立身出世主義を処世哲学とする野心的な1人の青年が,生きている人形のように翻弄(ほんろう)される無残な姿を描いて,資本主義社会の巨大なからくりと冷酷さをあばいた映画であった。…
※「生ける人形」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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