産科麻酔(読み)さんかますい(その他表記)obstetric anesthesia

日本大百科全書(ニッポニカ) 「産科麻酔」の意味・わかりやすい解説

産科麻酔
さんかますい
obstetric anesthesia

分娩(ぶんべん)時のあらゆる苦痛から産婦を解放するために行われる麻酔のことで、母体の安全のために全身管理を行うとともに、周産期の胎児に対しても最善の環境条件を保つように管理することなどが必要とされる。

 産科麻酔には、帝王切開術の際に行われる全身麻酔法をはじめ、いわゆる無痛分娩で行われる経腟(けいちつ)分娩の鎮痛法や、分娩の過程でみられる産痛に対する疼痛(とうつう)対策が含まれる。無痛分娩には持続硬膜外麻酔やサドル麻酔などが行われ、産痛には陰部神経遮断麻酔や傍頸管(けいかん)麻酔などが行われる。いずれの麻酔法でも、母体の麻酔効果は分娩経過や胎児への影響を最小限とする必要があり、母児双方の周産期における産科的合併症や偶発症にも対処しなければならない。すなわち、産婦に適した麻酔法を選択し、定期的診察によって最小限有効な産科麻酔量を使うほか、母体は分娩後2時間は分娩監視装置によって看視し、新生児の麻酔の影響も定期的に観察する。

[新井正夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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