田付長兵衛(読み)たつけ・ちょうべえ

朝日日本歴史人物事典 「田付長兵衛」の解説

田付長兵衛

生年生没年不詳
江戸前期の蒔絵師同期を代表する蒔絵作品のひとつ「角田川蒔絵文台硯箱」(東京国立博物館蔵)の文台甲板裏と硯箱見込に「角田河/田付長兵衛/高忠(花押)」の金蒔銘があるところからその存在が知られる。室町時代に始まる蒔絵の伝統様式を踏襲した精細かつ高雅な作風である。なお,この長兵衛と同時期,同系統と目される蒔絵師に田付長兵衛広忠がおり,こちらは出雲大社に伝わる「亀甲剣木瓜紋蒔絵文台硯箱」の文台甲板裏に「寛文七年/田付長兵衛広忠(花押)」の銘文を遺している。

(小松大秀)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「田付長兵衛」の解説

田付長兵衛 たつけ-ちょうべえ

?-? 江戸時代前期の蒔絵(まきえ)師。
角田川蒔絵文台硯箱(東京国立博物館蔵)に田付長兵衛高忠の銘がある。また亀甲剣木瓜紋蒔絵文台硯箱(出雲(いずも)大社蔵)には寛文7年(1667)の田付長兵衛広忠の銘がある。作風がちがうため別人とおもわれるが,いずれも京蒔絵師田付家系の人とみられる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「田付長兵衛」の意味・わかりやすい解説

田付長兵衛
たつけちょうべえ

江戸時代前期の蒔絵師。寛文~元禄期 (1661~1704) 頃京都活躍。硯箱,文台などに細密な蒔絵を施した。田付長兵衛を名のる作者に高広と広忠の2人が知られ,長兵衛の名は流派の代表名。

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