朝日日本歴史人物事典 「田付長兵衛」の解説
田付長兵衛
江戸前期の蒔絵師。同期を代表する蒔絵作品のひとつ「角田川蒔絵文台硯箱」(東京国立博物館蔵)の文台甲板裏と硯箱見込に「角田河/田付長兵衛/高忠(花押)」の金蒔銘があるところからその存在が知られる。室町時代に始まる蒔絵の伝統様式を踏襲した精細かつ高雅な作風である。なお,この長兵衛と同時期,同系統と目される蒔絵師に田付長兵衛広忠がおり,こちらは出雲大社に伝わる「亀甲剣木瓜紋蒔絵文台硯箱」の文台甲板裏に「寛文七年/田付長兵衛広忠(花押)」の銘文を遺している。
(小松大秀)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報