蒔絵師(読み)まきえし

精選版 日本国語大辞典 「蒔絵師」の意味・読み・例文・類語

まきえ‐しまきヱ‥【蒔絵師】

  1. 蒔絵師〈七十一番職人歌合〉
    蒔絵師〈七十一番職人歌合〉
  2. 〘 名詞 〙 蒔絵を業とする人。蒔絵塗師(ぬし)
    1. [初出の実例]「蒔絵師清原則季」(出典:山槐記‐安元元年(1175)八月一六日)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「蒔絵師」の意味・わかりやすい解説

蒔絵師
まきえし

漆塗りの技法には下地(したじ)の髹(ぬり)漆と、加飾の画(えがき)漆と、彫(ほり)漆とがあり、画漆の専門職人が蒔絵師で、平文(ひょうもん)師とともに12世紀に髹漆の塗師(ぬし)から分化した。蒔絵はおもに食器、家具、調度などに施され、貴族武家大名、大商人の需要に応じたもので、なかなか庶民のものとはならなかった。京都が生産の中心地であったが、17世紀からは江戸、金沢など地方的生産地もできた。居職(いじょく)で、下絵(したえ)は下絵書き、金銀粉は金粉師、金銀片は切金(きりがね)師から入手した。髹漆をしてから画漆にかかるものであるから、髹漆は画漆がしやすいようにしなければならない。蒔絵屋は自家製品のみを販売する者で、蒔絵を販売する商人ではない。

遠藤元男

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