田殿廃寺(読み)たどのはいじ

日本歴史地名大系 「田殿廃寺」の解説

田殿廃寺
たどのはいじ

[現在地名]吉備町田口

有田ありだ川北岸の標高約一五―二〇メートルの山麓に造営された古代寺院。平野部への入口にあたる地点を占め、現在は柑橘園となっている。発掘調査が実施されていないため詳細は不明であるが、七堂伽藍が整うにはやや偏狭な地勢かと思われる。かつては古瓦片の散布も顕著で、土製の薬師如来、塔の相輪かとみられる金属製品片などの出土が伝えられているが、現在は古瓦の細片がわずかに散布しているにすぎない。採集されている瓦に、複弁八葉蓮華文軒丸瓦と三重弧文・四重弧文軒平瓦があり、いわゆる川原寺式とよぶ範疇に入る七世紀後半代のものである。軒丸瓦は不規則に配置した三二個の珠文をもつ大きな中房の外に蓮華文を飾り、斜行縁には凸鋸歯文を巡らしている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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