異常肥大成長(読み)いじょうひだいせいちょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「異常肥大成長」の意味・わかりやすい解説

異常肥大成長
いじょうひだいせいちょう

植物体の一部が、本来の大きさよりも異常に肥大成長する現象をいう。種々の原因により正常な組織の形成層の活動が活発になって、その部分の細胞が異常に増殖して肥大するためにおこる。原因としては、昆虫細菌などの他の生物が寄生あるいは共生する場合や、組織の傷害があげられる。他の生物の寄生、共生によって生ずるこぶ虫こぶ虫えい(ちゅうえい))である。虫こぶをつくる異常肥大成長は、寄生した生物の代謝産物が、植物の組織細胞の分裂を促進しておこるもので、根頭癌種菌(がんしゅきん)の生産するインドール酢酸による根頭癌種、あるいは昆虫の寄生産卵による刺激で生ずるものなどがある。虫こぶの場合は寄生する虫の種類によって特徴的な肥大成長の型がみられる。一方、組織の傷害としては、古くから行われてきた環状剥皮(はくひ)があり、これによっても、剥皮部分の上で異常肥大成長がおこる。つる植物(フジなど)の茎にみられるものは、形成層の活動が不規則に行われたものである。

吉田精一

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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