一般には,生体の細胞,組織,器官の体積が増加すること。医学病理学では,ある組織や器官に,それら予備力をこえる仕事の要請があるとき,自己の機能を増すために,臓器の体積を増す必要が生じるが,この際,個々の細胞の体積を増大させて臓器の体積を増すことを肥大という。肥大は細胞分裂能を失った細胞からなる臓器に顕著にみられる現象で,細胞のタンパク質量などを増加させるためリボ核酸の活動が活発となる。仕事の要請には,力学的なもの,代謝亢進によるものなどがあるが,いくら仕事の要請があっても,一定の限界以上には臓器は肥大しない。肥大の例としては,肉体労働者の骨格筋や,高血圧患者の心筋にみられる(これを作業性肥大という)。妊娠子宮の平滑筋細胞は非妊娠時の10倍にも達するが,これは卵胞ホルモン刺激による肥大である。1対になっている臓器の一方が廃疾となったり,手術摘出をうけたりすると,残った一方が機能を代償するために肥大する。これを代償性肥大という。進行性筋異栄養症では,筋繊維自体は萎縮消失し,脂肪細胞が欠損部を埋め,残った筋繊維が肥大するため,筋繊維の量が少ないにもかかわらず,見かけ上,健常部よりも太く見えることがある。これを仮性肥大という。
執筆者:山口 和克
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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