日本大百科全書(ニッポニカ) 「異形葉」の意味・わかりやすい解説
異形葉
いけいよう
植物の一つの個体に形や大きさが著しく異なる葉があるとき、その葉を異形葉という。不等葉とよばれることもある。異形葉という用語はさまざまに用いられ、芽を包む鱗片葉(りんぺんよう)(芽鱗(がりん))、普通葉、花を抱く包葉などの異なった葉についていうこともあるが、普通葉に異なる形などのあるときに用いることが多い。1本の枝で異形葉がみられるもの(コウゾ、クワ)、枝ごとにみられるもの(ツタ)がある。イチョウでは長枝の葉は切れ込みが比較的深く、短枝では浅い。ヒノキ、アスナロでは鱗(うろこ)状のものの一つ一つが葉であるが、枝全体が背腹性をもつことを反映して、枝の上側の葉、下側の葉、左側の葉、右側の葉はそれぞれ形が異なる。ヤツデの芽生えにつくられる最初の数葉には葉の切れ込みがない。このように芽生えの幼い時期の葉と成長した植物体の葉との形が違うことがあるが、この場合はそれぞれ幼形、成形という。
[原 襄]