疲れ限度（読み）ツカレゲンド（その他表記）fatigue limit

デジタル大辞泉

つかれ‐げんど【疲れ限度】

⇒疲労限界

出典　小学館

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

疲れ限度
つかれげんど
fatigue limit

疲労限度，耐久限度ともいう。材料に無限回数の繰返し応力を加えても破壊しない上限の応力をさし，具体的にはS-N線図の水平部の応力になる。疲れ限度よりも高い応力が繰返し作用すれば，材料はある有限の回数 (時間) で破壊する。ある繰返し数に耐えうる最大の応力を時間強さ (時間強度) Zeitfestigkeitといい，S-N線図の傾斜部の応力に相当する。疲れ限度と時間強さを合せて疲れ強さまたは疲労強度という。この疲れ限度は炭素鋼には一般的に存在するが，腐食環境における場合や非鉄金属では通常認められない。このような場合は，S-N線図のある特定の繰返し数 (通常 10⁷ または 10⁸ 回) に対する時間強さを疲れ限度と定め，そのときの回数を付記する。疲れ限度は繰返し応力の形式によって異なるので，両振り引張り疲れ限度，回転曲げ疲れ限度のように，疲れ試験の種別ごとに表わす。疲れ限度に及ぼす平均応力の影響を示す線図を疲れ限度線図，疲労限度線図，耐久限度線図と呼ぶ。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

世界大百科事典（旧版）内の疲れ限度の言及

【材料試験】より

…すなわち，初めは小さな亀裂でもしだいに成長し，ついには全断面が破壊するわけで，この現象を疲れ(または疲労)という。疲れ試験は材料が無限回(ある有限回数を指定することもある)の繰返しに耐える最大の応力(疲れ限度という)を求めるもので，変動荷重が加わる機械の破壊は多くの場合疲れの結果起こるので重要な試験である。ただし多大の時間と労力を要するので，疲れ限度を引張強さなど材料の他の性質から推定することも行われる。…

【疲労】より

…その例を図に示すが，N＝10⁶～10⁷で曲線が折れ曲がっている。つまり，このときの応力幅以下では，疲労が起きないことを示しており，その応力幅を疲労限度(疲れ限度)，または耐久限度と呼ぶ。通常の疲労試験は，Nが10⁷以上となる応力幅を疲労限度とするが，アルミニウム合金のような非鉄金属では10⁷回を超えても破壊が起こり，疲労限度が存在しない場合もある。…

※「疲れ限度」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」