痛・傷(読み)いためる

精選版 日本国語大辞典 「痛・傷」の意味・読み・例文・類語

いた・める【痛・傷】

〘他マ下一〙 いた・む 〘他マ下二〙
① からだに苦痛を感じさせる。痛い目にあわせる。いためつける。
平家(13C前)二「足手をはさみ、さまざまにいためとふ」
徒然草(1331頃)一二八「いける物を殺し、いため、たたかはしめて遊びたのしまん人は」
② からだに、痛みや故障を起こす。「腰をいためる」
西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉一〇「からだはちっといためてゐるが」
③ 心に苦痛を感じさせる。悲しませる。苦しめる。
※御伽草子・こほろぎ草子(室町時代物語大成所収)(室町末)「きゆるおもひにこころをいため」
※人情本・春色恵の花(1836)二「裾のよごれるに気もいためぬは」
④ 物質的な損害を与える。打撃を与える。「ふところをいためる」
※それから(1909)〈夏目漱石〉五「小遣(こづかひ)に困る事はよくあるが、困るたんびに嫂(あによめ)を痛(イタ)めて事を済ましてゐた」
⑤ (器物、建造物、衣類、書籍などに)きずをつける。機能や材質を悪くさせる。そこなう。
※改正増補和英語林集成(1886)「キモノヲ itameru(イタメル)
⑥ (果物、野菜、魚など)食品にきずをつける。腐らせる。

いたまし・い【痛・傷】

〘形口〙 いたまし 〘形シク〙 (動詞「いたむ(痛)」の形容詞化)
相手を哀れみ、同情して、心が痛む。また、心を痛ませるような状態である。かわいそうで見るに忍びない。ふびんだ。痛々しい。いたわしい。
※春華秋月抄草嘉禎四年点(1238)「痛哉 イタマシキカナヤ」
※徒然草(1331頃)一二八「彼に苦しみを与へ、命を奪はん事、いかでかいたましからざらん」
心身が苦しみ悩む。つらい。苦しい。悩ましい。
※徒然草(1331頃)一「声をかしくて拍子とり、いたましうするものから、下戸ならぬこそをのこはよけれ」
いたまし‐が・る
〘自ラ五(四)〙
いたまし‐げ
〘形動〙
いたまし‐さ
〘名〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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