日本大百科全書(ニッポニカ) 「発光星雲」の意味・わかりやすい解説
発光星雲
はっこうせいうん
emission nebula
銀河系内にある星間物質が、高温の恒星から放射される紫外線によって電離されて光って見える星雲。HⅡ領域あるいは電離水素領域ともいう。発光星雲は、可視光ではほとんど輝線のみから成る輝線スペクトルを示す。Hα(アルファ)線、Hβ(ベータ)線などの水素の再結合線、[OⅡ]、[NⅡ]など酸素や窒素の禁制線などが見られる。星間物質を電離させている星を励起星という。通常は表面温度が1万度よりも高い大質量の若いO型星かB型星が励起星である。このような若い星は、星生成領域や若い散開星団にある。有名な発光星雲であるオリオン大星雲(M42)の場合のように、発光星雲の見られる星生成領域では、反射星雲や暗黒星雲も見られることが多い。発光星雲からは電波と赤外線も放射される。電波は、電離ガスからの熱制動放射によるもので、赤外線はダスト(固体微粒子)の熱放射である。
[岡村定矩]