翻訳|open cluster
数十から数百の星が50光年程度の領域に比較的緩やかに集合している星団。銀河系の円盤(ディスク)、とくに渦巻腕の中で同時に誕生した星々の集団である。銀河系のハロー(ディスクを包み込む領域)に分布する球状星団が種族Ⅱの星からできている(球状星団は種族Ⅱの天体という言い方もされる)のに対し、散開星団は種族Ⅰの星から成っている(同前)。ディスクにある散開星団は、星間吸収の影響を強く受けているので、遠方に行くほど観測が困難になる。これまでに約1500個の散開星団が知られているが、これらは太陽に近いものである。散開星団の年齢は数百万年から数十億年まで広い範囲にわたる。若い散開星団のHR図(色-等級図)は、青い星から赤い星まで主系列がはっきり認められる。もっとも若い散開星団は、その生まれるもとになった星間物質の名残(なごり)をとどめていることがある。プレヤデス星団の反射星雲が有名な例である。
散開星団の観測を通して星間吸収の問題が解決した。星間空間が透明(光を吸収しない)かそうでないかは、宇宙の形と大きさを決める20世紀初頭の研究で大問題となっていた。1930年にトランプラーは、散開星団の距離を二つの方法で比較した。星の明るさ(分光視差)から推定した距離と、星団の直径から推定した距離を比べると、前者の方が後者よりも系統的に大きくなった。これは、星団から光がわれわれに届くまでに星間空間で吸収されて弱くなるので、吸収がないとした場合より距離が遠いように見積もられることを示していた。こうして、星間吸収の存在が初めて観測的に実証された。
[岡村定矩]
主として天の川に沿って分布している星団である。それぞれまったく異なる見かけの姿を示す。〈すばる〉はとくに著名で,清少納言の《枕草子》にも星といえばすばるがいちばん美しいと書かれている。今まで知られている約1000個の散開星団の中には,球状星団として数えられたこともある密集した星団から,固有運動の共通性から初めて星団として認知されたものまである。その集中度もいろいろで,数十個から数百個の恒星が,直径20光年くらいの空間に集まっている天体である。星団の内部では,それらの恒星は全体で作る重力の引力圏の中を秒速数百mの運動速度で運動している。また,散開星団が占める空間の中を,秒速10kmくらいで横断していく一般星野の星,あるいは星間雲も少なくない。大多数の散開星団は,銀河系の年齢よりも短い10億年くらいの間に,天の川の一般星野の星の中に混じり合ってこわれてしまう。若い散開星団は,銀河系円盤部の渦巻腕に沿って分布している。若い散開星団の距離を調べて,銀河系が渦巻銀河であることが発見された。散開星団は,典型的な種族Ⅰの天体で,銀河系の円盤部ができて以来,幾世代にもわたって生まれてはこわれている。したがって,もっとも若い散開星団の年齢は100万年以下であるのに対して,10億年以上の年齢のM67やNGC188のような散開星団もある。若い散開星団のまわりには,アソシエーションがあるとともに,散光星雲や暗黒星雲など星間物質も多い。
執筆者:石田 蕙一
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…星団は距離が遠くなると,小さい望遠鏡で眺めただけでは星雲や銀河との区別が困難になるばかりかすい星と見まちがえられることさえある。星団は,メシエのカタログ(M)やドライヤーのカタログ(NGC)の番号で,ヘルクレス座の球状星団M13,ケフェウス座の散開星団NGC188などと呼ばれることが多い。銀河系の中の星団は,〈球状星団〉と〈散開星団〉に分けられる。…
※「散開星団」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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