禁制線(読み)キンセイセン

デジタル大辞泉 「禁制線」の意味・読み・例文・類語

きんせい‐せん【禁制線】

原子分子原子核などにおけるエネルギー準位間で、普通ではほとんど起こりえない遷移が特殊条件下で起こり、光子放出されて観測される弱いスペクトル線。禁止線

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精選版 日本国語大辞典 「禁制線」の意味・読み・例文・類語

きんせい‐せん【禁制線】

  1. 〘 名詞 〙 原子や分子のスペクトル線うち量子力学で無摂動の場合には許容されない線。普通の天体のスペクトル線中には観測されないが、非常に希薄な物質が強い放射にさらされた場合、例えば惑星状星雲などで観測される。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「禁制線」の意味・わかりやすい解説

禁制線
きんせいせん
forbidden line

原子や分子の出す光のスペクトル線のうち,銀河系内ガス星雲太陽コロナなどの希薄な気体中のみにみられる特殊なスペクトル線(→ガス星雲コロナ)。一般に,原子や分子の状態の変化に伴って光が放出される。禁制線は,普通にはほとんど起こらない二つの状態間の変化に伴って出る光で,実験室でこれらのスペクトル線を検出するのは難しい。希薄ガス中では原子・分子衝突の速度が遅いため,水素のバルマー線などの許容線と同程度の強さになって観測される。

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化学辞典 第2版 「禁制線」の解説

禁制線
キンセイセン
forbidden line

禁制遷移によって生じる弱いスペクトル線.原子や分子が二つの量子力学的状態の間で電磁波吸収ないし放出を伴って起こす遷移のなかで,電気双極子に関する遷移モーメントは0で,通常のスペクトルにはほとんどあるいはまったく現れないが,特殊な条件のもとでは電気四極子磁気双極子に関する遷移モーメントによって起こる遷移を禁制遷移といい,対応する弱いスペクトル線を禁制線という.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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