白色体(読み)はくしょくたい

精選版 日本国語大辞典 「白色体」の意味・読み・例文・類語

はくしょく‐たい【白色体】

  1. 〘 名詞 〙 植物表皮分裂組織・地下茎・根、日かげに生じた植物体、斑入り植物の白色部などの細胞に見られる色素を含まない色素体澱粉を形成することがある。また、光があたると葉緑体に変化するものがあり、葉緑体が暗所で変化することがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「白色体」の意味・わかりやすい解説

白色体
はくしょくたい

色素体の一種であるが、遺伝子レベルでクロロフィルカロチノイドなどの合成能力を欠失しているために、ホルモンや光を与えても葉緑体とはならない。白色体は茎の皮層や髄、根の各組織、葉の斑(ふ)入りの部分などの細胞に含まれ、窒素同化とデンプン合成の機能をもっている。デンプン合成能がとくに盛んになったものはデンプン形成体アミロプラスト)とよばれ、デンプン貯蔵組織にみられる。

[佐藤七郎]


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世界大百科事典(旧版)内の白色体の言及

【色素体】より

…動物細胞・菌類に欠けているが,分裂組織など未分化な植物細胞にみられ,大きさ1~3μmの桿(かん)状または長楕円体のクロロフィルをもたない原色素体proplastidから発達する細胞小器官である。その形状,内部構造,機能などは,種類によって著しく異なり,光合成器官になっている葉緑体のほか,クロロフィルを欠く白色体,黄化植物のエチオプラスト,大きな貯蔵デンプンをもつアミロプラスト,黄色や橙色細胞にみられる有色色素体,タンパク質の結晶を含むプロテノプラスト,大きな油滴や脂質顆粒(かりゆう)をもつオレオプラストなどがある。 いずれの色素体も葉緑体でよく研究されているように,独自のDNA,RNAおよび酵素をもち,自己増殖性の細胞小器官として生殖細胞を通して次の世代に伝えられる。…

【ワラジムシ(鼠姑)】より

…ワラジムシ亜目には,気管を腹肢にもたないフナムシ科と,気管を腹肢にもつワラジムシ科,ハマワラジムシ科,ダンゴムシ科,ハマダンゴムシ科などを含む。ワラジムシの腹肢の外肢には白色体white bodyと呼ばれる大きな斑紋のように見える部分があるが,これはキチン質の外皮が二次的に内部に陥入して,細かく枝分れした擬気管pseudotracheaに発達しており,これによって空気呼吸をしている。白色体の構造や発達の程度は種類によってそれぞれ異なっている。…

※「白色体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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