目的刑(読み)もくてきけい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「目的刑」の意味・わかりやすい解説

目的刑
もくてきけい

一定の目的とくに社会防衛のために科される刑罰。これに対し、犯罪という害悪に対する応報として科される刑罰を応報刑という。刑法学における「新旧両派の争い」の一場面として、刑罰の本質は応報刑か目的刑かの争いがある。旧派古典学派)の立場からは、刑罰は過去に犯された犯罪に対する応報として応報原理により科されるとする応報刑主義が一般に採用される。これに対し、新派(近代学派)の立場からは、刑罰を科すこと自体に意味があるのではなく、犯罪から社会を防衛することに刑罰の意味があると解する目的刑主義が支持された。この目的刑主義では、刑罰による社会防衛とは、犯罪者を教育・改善し、社会復帰させることであるから、刑罰は個々の犯罪者の社会的危険性に応じ、これに適した方法で科されるべきである、とされる(刑罰の個別化)。

[名和鐵郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む