朝日日本歴史人物事典 「直胤」の解説
直胤
生年:安永8(1779)
江戸後期の刀工。出羽国山形生まれ。本名は庄司箕兵衛,大慶と号した。寛政(1789~1801)の終わりごろに江戸に出て水心子正秀の門に入り,文政5(1822)年ごろ筑前大掾を,嘉永1(1848)年に美濃介を受領している。作風は初期には師の正秀に似て,沸のよく付いた濤瀾刃や大互の目乱れの刃文が多く,のちに備前刀写しの丁字乱れを焼く。いずれも優れた出来をみせており,清麿と共に幕末期を代表する刀工と評価される。江戸下谷御徒町に住み,門人,知人のいる三河(愛知県)誉母,上総(千葉県)東金,相模(神奈川県)二宮,伊豆,遠州(静岡県),信濃(長野県),大坂,京都,丹後宮津(京都府),備中(岡山県)など各地を廻って作刀している。
(原田一敏)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報