日本大百科全書(ニッポニカ) 「真空の誘電率」の意味・わかりやすい解説
真空の誘電率
しんくうのゆうでんりつ
dielectric constant of vacuum
electric constant
permittivity of vacuum
真空における、電界Eと電束密度Dの関係でD=ε0Eにおけるε0を真空の誘電率とよぶ。これは、クーロンの法則で、電荷q1と電荷q2の間の距離r間の二つの電荷間に働くクーロン力Fを
と表したときのε0である。真空の透磁率μ0と光速度cとの間に
という関係もある。
ただし、真空の誘電率ということばから、真空が誘電体であると思われがちであるが、真空は誘電体ではない。真空の誘電率とは上述の式でみるように、電荷間に働く力の比例定数である。ε0は2010年の科学技術データ委員会(CODATA:Committee on Data for Science and Technology)勧告によると
ε0=8.8541878128(13)×10-12Fm-1
である。真空の誘電率は物理的普遍定数の一つと考えられ、時間的空間的に(宇宙の開闢(かいびゃく)以来、宇宙のどこでも)一定の値をもつものと考えられている。
[山本将史 2022年2月18日]