透磁率(読み)トウジリツ

デジタル大辞泉 「透磁率」の意味・読み・例文・類語

とうじ‐りつ【透磁率】

磁束密度すなわち磁気誘導の大きさと、磁界の強さとの比。導磁率

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精選版 日本国語大辞典 「透磁率」の意味・読み・例文・類語

とうじ‐りつ【透磁率】

  1. 〘 名詞 〙 磁気誘導(磁束密度)の大きさと、磁場の強さとの比。

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化学辞典 第2版 「透磁率」の解説

透磁率
トウジリツ
magnetic permeability

磁束密度B,磁場をHとするとき,自発磁化をもたない等方性の磁性体では,

B = μH
という関係がある.このμを透磁率という.異方性のある磁性体ではμは二階のテンソルになる.真空の透磁率 μ0 はガウス単位では1ととるが,国際単位系(SI単位)では4π×10-7 H m-1 あるいは N A-2 である.したがってSI単位では,特定の物質のμと真空の μ0 との比

μr ≡ μ/μ0
比透磁率という.μr数値はガウス単位のμと一致する.磁化率χと透磁率μとは,SI単位のE-H対応では

μ = μ0(1 + χ),
ガウス単位では

μ = 1 + 4πχ
という関係になる.強磁性体の場合には,磁化曲線の原点付近のBHの比を初透磁率という.初透磁率は純鉄では約200,パーマロイでは約8000である.

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改訂新版 世界大百科事典 「透磁率」の意味・わかりやすい解説

透磁率 (とうじりつ)
magnetic permeability

物質中の磁束密度は物質の磁気的性質により増加,または減少するが,その度合を示す量を透磁率と呼ぶ。導磁率ともいう。磁束密度をB,磁場をHとすると,強磁性の場合を除いて,B=μHで透磁率μが定義される。ガウス単位系では真空の透磁率μ0は1であり,μは真空の透磁率との比に等しい。MKSA単位系ではμを絶対透磁率といい,μ0との比を比透磁率と呼ぶ。すなわちMKSA単位系の比透磁率とガウス単位系の透磁率は等しく,単に透磁率といえばこれを指す。磁化率χとはガウス単位系ではμ=1+4πχ,MKSAのEB対応単位系ではμ=μ0(1+χ)の関係にある。等方的な物質でなければμはテンソルになり,強磁性の場合の定義はもっと複雑になる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「透磁率」の意味・わかりやすい解説

透磁率
とうじりつ

磁性材料の磁化しやすさを表す量。強さHの磁界を与えたとき、磁性体が磁化して生じた磁束密度をBとすると、
  μ=B/H
が透磁率である。真空の透磁率μ0との比を比透磁率とよび、通常これが用いられる。透磁率はHの関数で、最大の値を最大透磁率、Hがごく小さいときの値を初透磁率という。μの高いものは高透磁率材料、あるいは軟(ソフト)磁性材料とよばれ、トランス磁心などに用いられる。

 透磁率は物質定数ではなく、構造敏感な量であるため、製造技術や取扱い方法などに強く影響される。交流で磁性材料を利用するとき、周波数が上がるにつれて透磁率は低下するが、金属材料に比べフェライトは低下が少なく、高周波で使用できる。時間とともに透磁率が減少することがあり、これはディスアコモデーションとよばれて、材料の不安定性の尺度とされる。

[太田恵造]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「透磁率」の意味・わかりやすい解説

透磁率
とうじりつ
magnetic permeability

物質の磁気的性質を表す定数磁気誘導容量ともいう。記号にはμがよく使われる。磁束密度 B磁場 H との関係は B=μH で与えられる。磁化の難易度を表す磁化率 χm を用いると SI単位で μ=(1+χm0 となる。μ0 は真空の透磁率で μ0=1.256637×10-6H/m である。μ/μ0 を比透磁率という。実用上,透磁率として比透磁率を用いることが多い。ガウス単位系では μ=1+4πχm であり,真空の透磁率は 1となる。常磁性体の透磁率は真空の透磁率とほとんど変わらないが,強磁性体の透磁率は真空の透磁率の数百倍以上に達し,磁場の強さとともに変化する。

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百科事典マイペディア 「透磁率」の意味・わかりやすい解説

透磁率【とうじりつ】

誘磁率とも。磁場内におかれた磁性体の磁束密度と磁場の強さとの比μを透磁率という。MKSA単位系(MKS単位系)ではこれを絶対透磁率といい,真空の透磁率μ(/0)との比を比透磁率という。ガウス単位系では真空の透磁率μ(/0)は1だから,その透磁率はMKSA単位系の比透磁率に等しく,単に透磁率といえば,この値を指す。→磁化率
→関連項目強磁性体常磁性

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