磁束密度をB,磁場をHとするとき,自発磁化をもたない等方性の磁性体では,
B = μH
という関係がある.このμを透磁率という.異方性のある磁性体ではμは二階のテンソルになる.真空の透磁率 μ0 はガウス単位では1ととるが,国際単位系(SI単位)では4π×10-7 H m-1 あるいは N A-2 である.したがってSI単位では,特定の物質のμと真空の μ0 との比
μr ≡ μ/μ0
を比透磁率という.μr の数値はガウス単位のμと一致する.磁化率χと透磁率μとは,SI単位のE-H対応では
μ = μ0(1 + χ),
ガウス単位では
μ = 1 + 4πχ
という関係になる.強磁性体の場合には,磁化曲線の原点付近のBとHの比を初透磁率という.初透磁率は純鉄では約200,パーマロイでは約8000である.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
物質中の磁束密度は物質の磁気的性質により増加,または減少するが,その度合を示す量を透磁率と呼ぶ。導磁率ともいう。磁束密度をB,磁場をHとすると,強磁性の場合を除いて,B=μHで透磁率μが定義される。ガウス単位系では真空の透磁率μ0は1であり,μは真空の透磁率との比に等しい。MKSA単位系ではμを絶対透磁率といい,μ0との比を比透磁率と呼ぶ。すなわちMKSA単位系の比透磁率とガウス単位系の透磁率は等しく,単に透磁率といえばこれを指す。磁化率χとはガウス単位系ではμ=1+4πχ,MKSAのEB対応単位系ではμ=μ0(1+χ)の関係にある。等方的な物質でなければμはテンソルになり,強磁性の場合の定義はもっと複雑になる。
執筆者:吉森 昭夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
強磁性材料の磁化しやすさを表す量。強さHの磁界を与えたとき、磁性体が磁化して生じた磁束密度をBとすると、
μ=B/H
が透磁率である。真空の透磁率μ0との比を比透磁率とよび、通常これが用いられる。透磁率はHの関数で、最大の値を最大透磁率、Hがごく小さいときの値を初透磁率という。μの高いものは高透磁率材料、あるいは軟(ソフト)磁性材料とよばれ、トランスの磁心などに用いられる。
透磁率は物質定数ではなく、構造敏感な量であるため、製造技術や取扱い方法などに強く影響される。交流で磁性材料を利用するとき、周波数が上がるにつれて透磁率は低下するが、金属材料に比べフェライトは低下が少なく、高周波で使用できる。時間とともに透磁率が減少することがあり、これはディスアコモデーションとよばれて、材料の不安定性の尺度とされる。
[太田恵造]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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