…近年,879年(元慶3)の制作という説の出された東寺西院伝来の彩色の一本(《真言院曼荼羅》)がこれに次ぐ遺品で,こちらにも晩唐様が指摘されているが,いずれも忠実な伝写の技術ばかりではない高度な画境を示すもので,おそらく当時の水準を超えているであろう。東寺にはまた空海が将来した真言五祖像とそれを範として日本で制作された竜猛・竜智の二祖像が伝えられている。後者には唐代の写実的な個性表現に比べて,むしろ観念的な形と量の感覚で像主をとらえている趣があり,その点西大寺の十二天画像にみる画面いっぱいに量感あふれた尊像の表現,ひいては当代の彫像の表現にも一脈通ずるものがある。…
※「真言五祖像」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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