矢集郷(読み)やつめごう

日本歴史地名大系 「矢集郷」の解説

矢集郷
やつめごう

和名抄」所載の郷。駿河国駿河郡矢集郷の訓注「夜豆米」(高山寺本)・「也都女」(東急本)に従う。「新撰姓氏録」などに矢集連・箭集宿禰などの古代氏族がみられ、「日本書紀」天武天皇一三年(六八四)一二月二日条に、矢集連らとともに美濃矢集連に宿禰の姓が与えられたという記事があり、当郷を美濃矢集連の本拠地とする説がある(「濃飛両国通史」「大日本地名辞書」「日本地理志料」など)。なお大宝二年(七〇二)の御野国戸籍(正倉院文書)の加毛郡半布里・各牟郡中里・味蜂間郡春部里の各戸籍巻末の国司署名部分に「少目追従八位上矢集宿禰宿奈麻呂」との署名があるが、彼も美濃矢集氏とかかわって当郷とも関係するかもしれない。


矢集郷
やつめごう

「和名抄」諸本にみえる郷名。高山寺本に「夜豆米」、東急本に「也都女」の訓がある。矢集は矢部を管掌する伴造氏族矢集連の分布に基づく地名か。「先代旧事本紀」天孫本紀によれば、矢集連は珠流河国造と同族関係にある。一方、ヤツメのヤツは谷津で、メは広場(九州の方言にある)として山間部に開けた所とする説もある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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