帷子(読み)かたびら

  • 帷=子

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

夏のきもの。古くは片枚 (かたひら) と記し,裏のない衣服をすべてこう呼んだが,江戸時代には, (ひとえ) 仕立ての絹物を単と称するのに対して,麻で仕立てられたものを帷子と称した。武家しきたりを書いた故実書をみると,帷子は麻に限らず,生絹 (すずし) ,紋紗 (もんしゃ) が用いられ,江戸時代の七夕 (7月7日) ,八朔 (8月1日) に用いる白帷子は七夕にはを置き,八朔には糊を置かないのがならわしとなっている。ゆかた湯帷子が本来の名称であった。

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デジタル大辞泉の解説

(あわせ)の片枚(かたひら)の
裏をつけない衣服の総称。ひとえもの。
生絹(すずし)や麻布で仕立てた、夏に着るひとえの着物。 夏》「青空のやうな―きたりけり/一茶
経帷子(きょうかたびら)のこと。
几帳(きちょう)帳(とばり)などに用いて垂らす絹。夏は生絹(すずし)、冬は練り絹を用いた。
「御几帳の―引き下ろし」〈・若紫〉

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百科事典マイペディアの解説

夏衣装の一種。本来裂(きれ)の片方を意味したが,江戸時代には麻の単(ひとえ)物をさした。装束の下に用いるほか小袖(こそで)の表着とされ,直垂(ひたたれ)以下大紋には白,布衣(ほい)以下裃(かみしも)には染帷子が一般に用いられた。また武家女性の盛夏衣料としては越後能登奈良等の上質の麻が用いられた。(あい)や茶で水辺の風景や花鳥を染め抜き,金糸や色糸で刺繍(ししゅう)をほどこした模様は,茶屋辻とか茶屋染といわれた。

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世界大百科事典 第2版の解説

夏の着物の一種。かたびらは袷(あわせ)でなく裂(きれ)の片方を意味し,帳(ちよう)の帷(い)や湯帷子(ゆかたびら)はその原義を示しているが,のちには単物(ひとえもの)を称するようになった。このほか装束の下に用いる帷子と,小袖の表着(うわぎ)としてとくに麻あるいは生絹(きぎぬ)の単物をいう場合もある。装束の帷子は,はじめ装束の下に肌身につけた汗取(あせとり)から起こり,夏に袷衵(あわせあこめ)をはぶいて単襲(ひとえがさね)を着て,下に麻の帷子を着用した。

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大辞林 第三版の解説

あわせの片ひらの意
裏を付けない衣服。ひとえもの。
装束の下に着るひとえの布製の衣服。
夏用の麻の小袖。薩摩上布・越後上布などが用いられた。[季] 夏。
几帳きちよう・帳とばりなどに用いて隔てとする薄い絹布の垂れ布。
経帷子。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ただ帷と書かれることもある。衣服および調度の用語。
(1)公家(くげ)の衣服の場合は、布製(植物性の繊維で織ったもの)の単(ひとえ)仕立ての下着。近世以降の小袖(こそで)の場合は、布製の単物の着物のこと。江戸時代の御殿女中が夏季に着用のものには、越後上布(えちごじょうふ)、奈良晒(ざらし)、薩摩(さつま)上布などに藍(あい)染めで詳細な模様を表し、さらに刺しゅうを加えた「茶屋辻(つじ)」とよばれる技法を施した小袖もある。また、夏の季語として帷子を用いるように、現在「帷子時」といえば盛夏の時節をさす。
(2)公家調度においては、帳台や几帳(きちょう)にかけて垂らす、表裏とも平絹(ひらぎぬ)や綾(あや)で仕立てられた幕状のものをさす。[高田倭男]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (あわせの「片ひら」の意)
① 几帳(きちょう)、御帳(みちょう)、壁代(かべしろ)などに用いて、へだてとするたれ布。夏は生絹(すずし)、冬は練絹(ねりぎぬ)を用いる。
※書紀(720)大化二年三月(北野本訓)「其の葬らむ時の帷(カタヒラ)(かたしろ)等は白布を用ゐよ」
※栄花(1028‐92頃)初花「御几帳のかたびら掛けかへ、御鏡など持て騒ぎ参る程」
② 裏をつけない布製の衣類の総称。夏は直衣(のうし)の下に着る。
※枕(10C終)三三「夏などのいと暑きにも、かたびらいとあざやかにて」
※平家(13C前)一〇「廿ばかりなる女房の、色白う清げにて、まことに優にうつくしきが、目結(めゆひ)のかたびらに染付けの湯巻きして」
③ 夏に着る、麻、木綿、絹などで作ったひとえもの。また、一般に、ひとえの着物。かたびらきぬ。《季・夏》
※仮名草子・尤双紙(1632)上「むさき物之しなじな〈略〉かたびらのしみもの。はなくそ」
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)三「四月から九月までの間で袷と羅衣(カタビラ)の時候に用るのさ」
④ 仏式で、葬る時、名号、経文、題目などを書いて死者に着せる着物。白麻などでつくる。経帷子(きょうかたびら)
※仮名草子・竹斎(1621‐23)下「浄土の三部経を書きたるかたびらを上に著て」
※浮世草子・日本永代蔵(1688)三「死では何も入ぬぞ。帷子(カタヒラ)ひとつと銭六文を四十九日の長旅のつかひ」

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世界大百科事典内の帷子の言及

【着物】より

…〈着るもの〉という意味から,衣服と同義語として用いられることもあるが,洋服に対して在来の日本の着物,すなわち和服を総称することもある。しかし現在一般に着物という場合は,和服のなかでも羽織,襦袢(じゆばん),コートなどをのぞく,いわゆる長着(ながぎ)をさすことが多い。これは布地,紋様,染色に関係なく,前でかき合わせて1本の帯で留める一部式(ワンピース)のスタイルのもので,表着(うわぎ)として用いる。以下〈着物〉の語はおもに長着をさして使う。…

【茶屋染】より

…夏の帷子(かたびら)の染法。寛永(1624‐44)ころ,京都の呉服商茶屋四郎次郎が創案したという。…

※「帷子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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