知らに(読み)シラニ

デジタル大辞泉 「知らに」の意味・読み・例文・類語

しら‐に【知らに】

[連語]《動詞「し(知)る」の未然形に打消しの助動詞「ず」の古い連用形「に」の付いたもの》知らないで。知らないので。
「たまきはる命惜しけどせむすべのたどきを―かくしてや荒しすらに嘆き伏せらむ」〈・三九六二〉

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精選版 日本国語大辞典 「知らに」の意味・読み・例文・類語

しら‐に【知に】

  1. 〘 連語 〙 ( 四段動詞「しる(知)」の未然形「しら」に、打消の助動詞「ず」の古い連用形「に」の付いたもの ) 知らないで。知らずに。知らないので。
    1. [初出の実例]「水溜る 依網(よさみ)の池の 堰杙(ゐぐひ)打ちが 刺しける斯良邇(シラニ) (ぬなは)繰り 延(は)へけく斯良邇(シラニ) 我が心しぞ いや愚(をこ)にして 今ぞ悔しき」(出典古事記(712)中・歌謡)

知らにの語誌

用法はきわめて限定され、助詞「と」、動詞「す」を下接する場合と、「(を)しらに」の形で原因、理由を表わす場合とがある。これらの用法は、「形容詞語幹+み」の用法と対応しており、「万葉集」中では「すべを無み」と「すべ知らに」「たど(づ)きをしらに」を同義的に用いている。同様の語構成、用法をもつ語に「かてに」「あかに」がある。

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