改訂新版 世界大百科事典 「石壮里遺跡」の意味・わかりやすい解説
石壮里遺跡 (せきそうりいせき)
Sokchangni-yujǒk
韓国,忠清南道公州郡長岐面石壮里にある,朝鮮半島南部で初めて発見された代表的な旧石器時代遺跡の一つ。1964年の発見以来,たびたび発掘調査が実施された。錦江中流域右岸の標高約13~17mの河岸段丘上に立地する。10層以上の遺物包含層が認められたが,大きくは前・中・後の3時期の文化層に編年されるとともに,それぞれがヨーロッパの旧石器文化の前・中・後期の編年や技法に対比されている。石器の種類は豊富で,チョッパー,チョッピング・トゥール,ハンド・アックス,彫器,サイド・スクレーパー,エンド・スクレーパー,尖頭器,細石核などの石器のほかに,石槌などの石器製作具も含まれる。石材も多様で,斑岩,玲岩,流紋岩,フリント,石英岩,黒曜石などがある。住居跡の検出も報じられたが,疑問点があり,また,さきの編年観に関しても,すべて後期旧石器時代とする見解もあって,問題点が少なくない。
執筆者:西谷 正
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報