朝日日本歴史人物事典 「石川大浪」の解説
石川大浪
生年:明和2(1765)
江戸後期の洋風画家。旗本で大御番組頭を勤める。名を乗加,通称甲吉,のち七左衛門。大浪は号で,別号に董松軒,董窓軒。絵は狩野派から始めたが,杉田玄白,前野良沢,大槻玄沢らと交わり,寛政年間(1789~1801)には蘭学者としても知られ,この間に舶来洋書の挿絵や銅版画を写し西洋画法を研究した。オランダ人画家ウィレム・ファン・ロイエンの油彩の静物画を弟孟高と共に模写した作品には,寛政8(1796)年の大槻玄沢の賛がある。油絵の遺作はなく,墨画か淡彩画による洋風画で,「西洋婦人図」「天地創造図」などがある。
(三輪英夫)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報