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模写 もしゃcopy

翻訳|copy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

模写
もしゃ
copy

ある美術作品を忠実に再現すること,またはされたもの。模作ともいう。彫刻の場合は普通模刻という。ただし,芸術家自身が自分の作品を写し取った場合は異作あるいはレプリカという言葉を用いる。模写ないし模刻の歴史は古く,ギリシア時代の多くの彫刻が,そのオリジナルは失われたにもかかわらず,われわれに伝えられているのは,ローマ時代の模刻のおかげである。中世の美術は自由な個性の発露よりも定式化された図像表現の伝統を守り,これを継承することに重点をおいたため,芸術家の仕事には模写的な要素が常にあった。ルネサンス時代に入ると,マサッチオを模写した若きミケランジェロのように芸術的な修業のため模写することが多くなる。また原作か模作かといった鑑定上の問題が出てくるのもルネサンスからで,ルーブル美術館とロンドンのナショナル・ギャラリーにあるレオナルド・ダ・ビンチの『岩窟の聖母』はその顕著な例。近代ではドラクロアやセザンヌが油彩ないしデッサンで自分の勉強をしているが,特にレンブラント,ドラクロア,ミレーなどを再三模写したゴッホの作品は独自の芸術的価値をもっている。精巧な複製や写真技術の発達した現代では,教育的な目的以外ではかつてのようには模写は行われないが,ベラスケスやクラナハらの作品をしばしば模写したピカソのような例もある。ただしこれは厳密な意味での模写ではなく,ピカソ自身による自由な創作といった性格が強い。

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デジタル大辞泉の解説

も‐しゃ【模写/×摸写】

[名](スル)似せて写すこと。実物どおりに写しとること。また、そのもの。「壁画を―する」「声帯―」

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世界大百科事典 第2版の解説

もしゃ【模写】

まねて写すこと,また写したものをいうが,ことに造形芸術において重要な概念である。彫刻の場合,模刻とも呼ぶ。芸術作品の創作には模倣,理想化,表出,象徴といった契機が考えられるが,それらは対象への対応の仕方によって異なっている。そのなかでも対象の姿かたちを忠実に模倣,再現しようとする試みは,古今東西の創作活動,とくに造形芸術において重要な課題として行われている。一方,完成された作品に対しても,模写・模造といった行為が,あらたな創作のための模範・手本・指標あるいは技法の習得のためになされる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

模写
もしゃ

複製法の一種で、絵画や書などをオリジナル(原作、原本)に倣って写すこと。西欧語のコピーにあたる。
 模写の目的には、原本保存のための模品の作成、原作の技法や手法の研究などがあり、今日では古文化財保護にとって不可欠なものとなっている。文化財の模写には、原本を汚損・変色などのままに写す「現状模写」と、制作時の形状・色彩などを研究して再現する「復原模写」とがある。模写は、中国において古くから六法の一つ「伝模移写」として尊重されてきた。その方法として、原本を傍らに置いて見ながら写す「臨模(りんも)」と、原本上に薄い紙を置いて写す「搨模(とうも)(透(すき)写し)」があり、書では双鉤填墨(そうこうてんぼく)(籠字(かごじ))を用いた搨本が原本の厳密な模写として盛んに行われた。日本画の模写では、透写しのほか、目の残像を利用して写し取る「あげ写し」の方法も行われている。[永井信一]

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世界大百科事典内の模写の言及

【偽作】より

…この時代にはみごとなコピーはそれ自体価値あるものと考えられていたようで,バザーリ自身もその技量を誇っている。17世紀以降もコピー,パスティーシュは模写,模作として,勉学のため,あるいは技量の誇りと楽しみのために多く作られている。中国でも模写,模作が盛んに行われた(これが室町時代の日本に輸入されるとしばしば真作として通用することになる)。…

※「模写」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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