改訂新版 世界大百科事典 「砂囊」の意味・わかりやすい解説
砂囊 (さのう)
gizzard
ventriculus
鳥類の消化管における筋肉胃で,真胃ともいう。鳥類の胃は前胃と砂囊に分かれている。前胃proventriculusは腺胃ともいい,内壁に多数の消化腺があり,消化酵素および酸性分泌物を出す。砂囊は外側が厚い筋肉層より成り,内壁は角質のじょうぶな膜でおおわれている。前胃で消化酵素や酸の作用を受けた食物は,砂囊ですりつぶされ,細かく破砕される。多くの鳥類では,砂囊中に鳥が飲み込んだ小石や砂利などがたまっていて食物の破砕を助けるので,砂囊の名がある。砂囊がとくによく発達しているのはニワトリ,キジ,ハト,フィンチなどの種子食・穀物食の鳥である。一方,魚や動物を主食とするアビ,ペリカン,ウ,ワシタカ,フクロウ類などでは,腺胃の方が発達していて,砂囊は比較的貧弱である。砂囊と十二指腸の境には幽門弁があり,砂囊中の小石や消化されなかった骨,羽毛,毛,歯,キチン質などが腸に送られるのを防ぐしくみになっている。不消化の骨片や羽毛や毛は口から吐き出す。これをペリットという。
執筆者:森岡 弘之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報