固体を細かくしていく機械的分離操作の一種。広い意味の粉砕size reductionのなかに破砕あるいは粗砕crushingや中砕なども含めるが、狭義には、これらより細かい約1センチメートル以下の粒度を目的とするものpulverization, grinding, millingに限定することが多い。粉砕の目的には、固体を細かくして取り扱いやすくしたり、粉体の混合における均一性をあげる物理的なねらいもあるが、固体の比表面積を増加させて、反応、物質移動、焼結などの化学的、物理化学的ねらいが重要となることが多い。
粉砕機で細かくしうる粒径の割合、すなわち粉砕比=砕料(原料の固体)の粒径÷砕製物(製品の粉粒体)の粒径は粉砕機の種類によって限界があり、幾種類かの粉砕機が直列に用いられることが多い。粉砕機の種類は砕製物の大きさによって、10~1センチメートルを粗砕機、10~5ミリメートルを中砕機、数百~数十マイクロメートルの粉砕機、数十マイクロメートル以下の微粉砕機、1マイクロメートル以下の超微粉砕機などに分けることがある。
粉砕のため固体に加える外力としては4種類あり、圧縮力は粗砕、中砕に、剪断(せんだん)力は微粉砕や靭性(じんせい)材料の微粉化に、衝撃力は中間粉砕、微粉砕、超微粉砕に、摩擦力は微粉砕、超微粉砕に用いられる。実際の粉砕機構は複雑で、これら幾種類かの力を同時に受ける場合もある。粉砕機はこのほか、連続粉砕と回分粉砕、乾式粉砕と湿式粉砕、閉回路粉砕など多種多様のものがある。
[早川豊彦]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
… 粉砕の対象物すなわち原料は,粒子径1m以上もある大塊から数十μmのものまで幅広く,また粉砕された粒子(粉砕産物)も粒子径10cm以上のものから1μm以下のものまでさまざまである。そこで慣習的に,比較的粗い粒子径の領域での粉砕を破砕crushing,比較的細かい粒子径の領域での粉砕を狭い意味で粉砕grindingと呼んで区別することがある。しかし破砕と狭義の粉砕との間に明確な境はない。…
※「破砕」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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