硫酸モルヒネ(読み)りゅうさんもるひね

知恵蔵 「硫酸モルヒネ」の解説

硫酸モルヒネ

がんの疼痛に対する持続的な治療薬。がん末期の痛みは極めて強い場合が多く、それを取り除くことはがん末期の治療において重要である。一般的な鎮痛薬で解消できない激しい痛みに対しては、モルヒネの使用が推奨されているが、モルヒネは体内からの消失が速く効果が持続せず、1日に何回も服用しなければならなかった。そのため消化管内で徐々にモルヒネを放出するように工夫された製剤(徐放性製剤)として、1日2回の服用で効果が持続するMSコンチン錠などが開発され、さらにその後、1日1回の服用でも効果を得られるモルヒネ製剤が順次開発された。商品名「ピーガード」もその1つ。DCV徐放化という新たな徐放性製剤の技術により、1日1回の服用で効果を得られる。その加工のため、割ったり砕いたりすると効果の持続が失われるのみならず、モルヒネが一気に体内に吸収され副作用の恐れが高まるので注意が必要である。主な副作用は便秘吐き気眠気など。

(澤田康文 東京大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android