社会的入院(読み)シャカイテキニュウイン

デジタル大辞泉 「社会的入院」の意味・読み・例文・類語

しゃかいてき‐にゅういん〔シヤクワイテキニフヰン〕【社会的入院】

入院による治療必要性が低くなっていながら、帰る家がない、引き取り手がいない、家庭介護者がいない、後遺症があるなどの理由で入院の続く状態要介護高齢者精神障害者の慢性的な長期入院についてもいう。病床数の不足、介護医療保険などの面から社会的な問題になっている。→療養病床介護療養型老人保健施設

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

知恵蔵 「社会的入院」の解説

社会的入院

医学的には入院の必要がなく、在宅での療養が可能であるにもかかわらず、ケアの担い手がいないなど家庭の事情や引き取り拒否により、病院で生活をしている状態。高齢者の寝たきりや精神障害者の社会復帰の阻害を作り出す一因でもある。厚生労働省は、精神医療を入院中心から、できるだけ地域で生活できるように転換するため、都道府県退院数値目標を設定し、社会復帰を支援する計画を作ることなどを盛り込んだ改革ビジョンを2004年に策定した。病棟や病床を、急性期、社会復帰リハビリテーションなどの4つに分け、病状などに応じて治療できる体制を06年度に整える予定。06年度から10年間で、約7万人ともいわれる社会的入院の解消を目指しており、その取り組みが注目される。

(中谷茂一 聖学院大学助教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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